【札幌の弁護士が解説】退職金は財産分与の対象になる?
退職金が財産分与の対象になるかどうかは、離婚協議や調停の場面でしばしば争点となります。
とはいえ、「まだ退職していないから関係ないのでは?」「すでに使ってしまった場合は?」と疑問を抱く方もいらっしゃると思います。
今回は退職金が財産分与の対象になるかどうかを、それぞれ想定されるケースごとに説明します。
退職金は財産分与の対象になる?
退職金は、働いたことへの報酬として支払われるもので、「給与の後払い」に近い性質を持つとされています。
そのため、婚姻中の勤務によって得られた部分は「夫婦で築いた共有財産」とみなされ、分けるべき対象とされることがあります。
ただし、退職金の支給時期や実際に使ったか、支給される確実性などによって分与できるかどうかが変わります。
■受け取った退職金が「手元に残っている」
すでに退職して退職金を受け取り、その金額が預貯金などの形で残っている場合は、原則として財産分与の対象になります。
■受け取った退職金が「手元に残っていない」
退職金を受け取ったあとに使い切ってしまっており、現金や預貯金として残っていない場合は、原則として財産分与の対象にはできません。
■退職前だが支給が「確定している」
退職前であっても、退職金の支給が明確に定まっており、将来受け取ることがほぼ確実であるというような場合には、原則として財産分与の対象として扱われます。
■退職前で支給が「不確定」
退職金制度があってもその支給が確実といえない場合、次のような財産分与の対象にならないことがあります。
- 業績や評価により支給額が大きく変動する
- 支給が会社の裁量に委ねられている・規則に明記されていない
- 離婚時点から定年退職までの期間が長い
- 退職金制度の変更・廃止が予定されている
財産分与の対象になる範囲
退職金の全額が対象になるわけではなく、婚姻期間と重なる勤務年数分のみが共有財産とみなされます。
たとえば、勤続年数40年のうち婚姻期間が25年であれば、財産分与の対象となるのは25年分となります。
また、分与は夫婦で2分の1ずつ行うのが原則のため、実際に受け取れるのはさらに半分の12年と6ヶ月に相当する金額となります。
まとめ
婚姻期間中に築かれた退職金は、夫婦共有の財産とされ、原則として財産分与の対象になります。
ただし、離婚から退職までの期間や支給の確実性、受け取った退職金が手元に残っているかどうかによって、財産分与の対象外になるケースもあります。
ご自身のケースで退職金が対象となるか不安な場合は、弁護士に相談することも検討してみてください。
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弁護士
- 所属団体
- 札幌弁護士会
- 経歴
-
2010年 北海道大学 卒業
2012年 北海道大学 法科大学院 修了
2014年 札幌弁護士会 登録
2014年 札幌の法律事務所に入所
2018年 札幌第一法律事務所を開所
弁護士
- 所属団体
- 札幌弁護士会
- 経歴
-
2008年 北海道札幌西高校 卒業
2012年 北海道大学法学部 卒業
2014年 北海道大学法科大学院 修了
2015年 札幌弁護士会 登録
2015年 札幌市内弁護士事務所 勤務
2018年 札幌第一法律事務所 開所
事務所概要
Office Overview
事務所名 | 札幌第一法律事務所 |
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